夢の4冠まであと一歩、殿堂入りレジェンド3人… パ初代タイトルホルダーたちは?

1950年の日刊スポーツの紙面【画像提供:日刊スポーツ】
1950年の日刊スポーツの紙面【画像提供:日刊スポーツ】

「別当か、荒巻か」紙面上では最優秀選手についての議論も

 最後に、紙面上の情報に注目したい。その年の「顔」でもある最優秀選手、さらにはパ・リーグ初のリーグMVPだっただけに、当初は別当と荒巻で記者の間でも意見が分かれると予想されていたようだ。ただ、いざ結果を見てみると荒巻の7票に対し、別当が27票を獲得して最優秀選手に輝いている。

 この投票は別当が大活躍を見せた日本シリーズ後に実施されたこともあり、シーズンの活躍以上に票の差が開いたのではないかという意見も掲載されている。ただ、「最高殊勲選手の栄を担った別当はやはりパのNO.1で技、心ともに全選手の範とすべきであり、この点において異議はない」とあるように、別当は当時のプロ野球界の顔とも言える存在だったのだろう。

 最優秀選手は逃してしまった荒巻だが、新人王では31票中29票と圧倒的な支持で獲得している。さらに、注目したいのは記事下部にある「新鋭ベストナイン」だ。通常のベストナインとは異なり、「プロ3年未満、満25歳以下」の条件のもと、各ポジションで優秀だった選手についての投票が行われている。まさに、各ポジションの新人王のような形だ。

 紙面上によれば、この企画はパ・リーグが「新人の向上心を刺激し将来のプロ野球を健全発達させる」という目的から実施されたようだ。現在では25歳以上でプロの世界に足を踏み入れる選手もおり、当時の基準をそのまま適用することはできないが、新たな基準で各ポジションの新人王について考えてみても面白いかもしれない。

 後から新たに追加されたものや、基準が変更になったものはあるものの、基本的にタイトルの本質は変わっていない。最も多くの本塁打を放った選手が「本塁打王」を獲得するのは、70年前から同じである。まさに、今季のタイトルホルダーとなった選手は70年のパ・リーグの歴史に新たに名を刻んだ存在であると言えるだろう。次回は、70年前のパ・リーグのベストナインについて取り上げる。こちらもタイトルと同じく、70年の歴史に刻まれる1つの形であると言えるだろう。

(「パ・リーグ インサイト」吉田貴)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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