プロ入り後に球速10キロ減… 元中日右腕「想像と真逆の野球人生」でも未練なき訳
中日でもがき続けた日々「しんどい時でも手を抜いたことはなかった」
「思い描いていたものとは、真逆の野球人生でしたね」
ただ、その声色に悲壮感はない。結果だけ見れば通算24試合登板、1勝4敗、防御率4.84だが、阿知羅氏自身はプロ7年間の過程を見る。「当たり前のことですが、しんどい時でも一日一日の練習や試合で手を抜いたことはなかった。だから全く悔いはなかったんです」。最後までやり切ったと思えた分、潔く現役を退くことができた。
裏表のない快活な人柄で、誰からも好かれた190センチの大型右腕。たとえ試合でメッタ打ちにあった日でも足を止め、取材に丁寧に答えた。年末年始に選手寮が閉まると、帰省せずに名古屋市内のビジネスホテルに泊まり、ナゴヤ球場に通ったことも。その姿には、「ひたむき」という言葉がよく似合った。
ボロボロになるまで現役でいようとするのも、自ら区切りをつけるのも、それぞれの野球人生。「一応7年やったので、次の人生に生かせたらなと思います」。柔道整復師の資格を取得すべく、春からは学生に。中日でもがき続けた日々は、きっと次への糧になってくれる。