甲子園スター候補の“スーパー中学生” 父は元NPB戦士、15歳で130M弾の規格外

狭山西武ボーイズ・小野勝利【写真:小谷真弥】
狭山西武ボーイズ・小野勝利【写真:小谷真弥】

中学通算28本塁打の小野勝利は神奈川県の強豪校へ進学「日本の4番になるのが夢」

 今夏の甲子園で注目されるのが、中学球界屈指の長距離砲として活躍した狭山西武ボーイズの小野勝利内野手(3年)だ。元プロ野球選手の父を持ち、身長180センチ、体重86キロと中学生離れした体格。中学通算28本塁打をマークした。中学卒業後に神奈川県の強豪校に進学するスーパー中学生の魅力に迫った。

 左中間へ右中間へ。小野は寒風を切り裂くように破壊力のある打球を飛ばしていく。まるで中学生には見えない打球だ。「日本の4番になることが小さい頃からの夢です。将来は日本を背負うような打者になりたいです」と目を輝かせる。

 規格外のパワーが自慢だ。1800グラムの未熟児として生まれたものの、生後3か月で200ミリの哺乳瓶に入ったミルクを毎日2本。体は急激に成長し、小学生時には地元のわんぱく相撲で圧倒的な力で優勝する怪力児童となった。「好きなものはたくさん食べてました。(元横綱の)朝青龍にそっくりでした」と苦笑いする。

 5歳から本格的に始めた野球でもメキメキと頭角を現した。西武・中村剛也の豪快な本塁打に魅せられ、父・剛さんが会長を務める狭山西武ボーイズでは公式戦デビューでいきなり3本塁打。テレビ局も取り上げるスーパー中学生となった。ただ、本人は決して浮かれることはない。

「調子に乗ると、すぐに打てなくなりますし、まだ何かを成し遂げたわけではないので。イチローさんぐらいの成績を残せば言えると思うんですけど、自分はこれから。将来、野球生活を終えた時に『オレは凄かった』と思えればいいです」

 野球に対する姿勢や考え方も中学生離れしている。父に紹介されたソフトバンクグループ・孫正義会長の「退路を断たないと、困難に立ち向かえん」との名言に心酔。自らの人生に落とし込んだ。

「練習してプロに行け、野球でメシを食っていけ、ということだと思います。絶対に逃げ道を作ってはいけないと思っています。やり遂げないといけない。今まで自分は取材を断ったことがありません。将来『あいつは?』とならないように。逃げ道を断つ意味でも必ず取材を受けるようにしています」

「どれだけ結果が良くなくても諦めずに努力したものが勝つと思っています。世の中に天才はいると思うんです。だけど、プロ野球の第一線で活躍している人たちに『天才ですか?』と聞いたら、『天才じゃない』と答えると思うんです。それは努力しているからだと思うので。どんなことでも挫けずに自分の練習すれば将来につながると思っています」

父・剛さんはプロ通算12試合登板「自分のような野球選手にならないように育ててきた」

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