西武の守護神・増田の凄さは? 被打率0割の“魔球”、セイバーで見る総合力の高さ

西武・増田達至 2020年度の結果球の球種割合【写真:PLM】
西武・増田達至 2020年度の結果球の球種割合【写真:PLM】

ストレートの球速は、クローザーとしては目を見張る速さではないものの…

 約7割を速球が占めている通り、軸となる球種はストレートだ。球速の面では140キロ台後半から150キロ台前半と、リリーフ投手としては目を見張るようなスピードがあるわけではない。しかし、増田投手の速球は、スライダーと同じ方向に手元で変化する性質を持っている。その独特な軌道もあり、打者にとっては見た目以上に捉えるのが難しいボールといえる。

 速球に強いパ・リーグの打者たちに真っ向からストレートで勝負を挑み、高めのコースで空振りを奪い、バットを押し込んでフライを打ち上げさせ、あるいは抜群のコントロールで見逃しの三振を奪う。増田投手の速球は、まさに決め球として十二分に機能する質を備えた球種と言えるだろう。

 この速球に加えて、結果球の約2割に達する、スライダーも頼れる球種の一つとなっている。スライダーの球速は130キロ台後半から140キロ中盤と、速球との間に一定の球速差が生まれている。一口にスライダーといっても、増田投手の場合は縦と横の2つの変化を状況に応じて使い分け、幅広い状況で空振りや打ち損じを誘うことが可能だ。

 その他にも、球速120キロ台中盤~後半とブレーキが効いており、投球に緩急をつける効果をもたらすカーブと、140キロ台の速さで鋭く縦に落ちるスプリットを時折交えながら、打者を打ち取っていく投球スタイルが基本線となっている。

 前項に関連して、2020年に記録した各球種の被打率についても見ていきたい。

被打率.000。年間を通して完璧に打者を抑え込んだ球種とは?

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