元巨人“青い稲妻”の異名をとった松本匡史の今 66歳でも野球の深さを感じる理由

飽きさせない工夫は「見せること」、実際の試合にも繋がる

「野球を楽しんでもらうために、私もよーく考えるんです。特に低学年の子供たちは集中する時間が短い。待っている時間が長くなると違うことをやってしまう。どうすればいいかと考えています。待っている間に飽きさせないようにする。そうすれば子供たちの心も鍛えられると思うんです」

 他の生徒がやっているところを見せるには「どう? ○○君のスイング、かっこいいよね!」と一緒にやっている意識を根付かせる。スタジオの鏡を使って、自分がどう映っているかを見せることも取り入れている。

「野球って見ることも大事。相手投手のことをよく見る。ランナーをよく見る。守備位置を見る……そういうことにも繋がっているので、『見てごらん』って、声をかけています」

 難しい言葉は要らないし、怒ることもしない。もちろん、高いレベルになっていけば必要なことかもしれないが、松本氏の塾に通う小学生には楽しんでもらうことの方が重要だ。松本氏の指導を見ていると、この年次を教える指導者は、野球とより真剣に向き合わないといけない。

「思うようにいかないこともたくさんありますよ。長く野球をやっていますが、まだ壁にぶつかることもあります。だから野球がまだ面白いのかな。野球って満足いくことはなかなかないですね。自分がやっている方が簡単ですよ(笑)」

 引退して月日が流れたが、時代が変わり、野球も変わっている。通算342盗塁をマークし、シーズン76盗塁のセ・リーグ記録保持者といっても、まだ旅路の途中のようだ。

(Full-Count編集部)

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