現在の主流は「ケースに入れる」 グラブを遠征バッグに入れなくなった理由
プロがグラブを磨くタイミングとはいつ?
型も大事だが、日々のケアも重要だ。用具担当は公式戦終了後、ベンチ内の片付けを終え、選手のいるロッカーにも入るのだが、大野さんは戦いを終えたナインが乾いたタオルを手に取り、グラブを磨いている光景をずっと見てきた。
ホコリや土を取り除き、全体にオイルを塗って仕上げる。その横顔は人それぞれ。笑顔の選手、悔しそうな選手、それぞれが一心不乱に磨いている。
「疲れている中、みんなグラブや用具を磨いてから帰路についていますね。その理由は様々だと思いますが、『今日も一日、お疲れ様』と声をかけているようにも見えますし、興奮した心を落ち着かせるために磨いているのかな、という選手もいます」
打てなかった。エラーをした。投手ならば、打たれてしまった……フラストレーションをぶつけているのではなく、磨いて気持ちをリセットしているように映った。他にもロッカーでは新しいグラブが届くと仲の良い選手同士で「この型はいいね」「深いね」「浅いね」――と品評会のように話で盛り上がったりもする。いくつになっても、グラブへの探究心は尽きない。
「プロの選手はグラブを本当に大切にしています。なので、野球をやっている子供たちは、プレーだけでなくそういうところも真似して欲しいと思います。あと、例えばですが、(グラブの)伸びている紐は切ってください。邪魔になってボールが取れなかったりしてしまうからです。グラブは使ったら放置するのではなく、磨いてほしいです。常に今、グラブがどんな状態にあるかをわかっていてほしいですね」
グラブでボールを“つかむ”ように、野球での成功も思い出も、自分の手でしっかりと手にしてほしいと願っている。