「指導者にも覚悟が必要」燕・山田哲人を輩出した強豪クラブが見据える少年野球の未来

兵庫伊丹・鯛島廣美代表(右)【写真:橋本健吾】
兵庫伊丹・鯛島廣美代表(右)【写真:橋本健吾】

「約3年間、熱心に続けられたことが今後の人生でも役に立ってくる」

 兵庫伊丹も全てのコーチ陣がライセンスを取得し投手、野手など各部門に15人のコーチが約100人の部員を指導している。チームの指導方針は1年生から3年生まで同じ練習を行い、怪我人などではない限り“無駄な時間”を作らないように心がけている。野球以外にも人間教育も重視し余程の理由がない限り原則として退部を認めていない。

「甲子園に出たい、強豪校に行きたい。勿論、その目標に向かって取り組むことは大事ですが約3年間、熱心に続けられたことが今後の人生でも役に立ってくる。何かに熱中する、その姿勢が大事です」

 今では球界を代表する打者に成長したヤクルトの山田もその一人だという。中学生を見るポイントには「やっぱり真面目さでしょうね。その中で自分で考えてやる子は成長スピードも早いし、高校、大学でも活躍している。足が遅くても一塁まで一生懸命走ることは誰でもできる、挨拶や声を出すことはできるでしょ? それができない子もたくさんいる。下手でもいいんです。そういった当たり前のことをできるかできないかで全然違ってくる。(山田は)足と肩はそこそこあったが野球に関して真面目だった」。

 ただ、鯛島氏が20年以上、指導してきた中で最も凄いと感じた選手は山田でなかった。「中学時代で間違いなくナンバーワンだったのは尾崎匡哉(2002年ドラフト1位で日本ハム入団)。打っても投げても頭一つ抜けていた。プロでは思うような成績は残せなかったが甲子園でも優勝した。彼以上の選手はいなかった」と振り返る。

小学野球の指導に危惧「自分の子どもなら試合に勝つために多少無理をさせる」

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