野村克也、山田久志、イチロー… パ70年で3人だけ、柳田悠岐が狙う“大記録”とは
その打撃の完成度の高さは、各種指標にも示されている
続けて、2020年までに柳田が残してきた成績を、セイバーメトリクスの分野で用いられる以下の指標をもとに見ていきたい。
・出塁率と長打率を足して求める、打者としての能力を示す「OPS」
・四球数を打席数で割って求める、四球を選んだ割合を示す「BB%」
・四球数を三振で割って求める、選球眼を示す「BB/K」
・本塁打を除く、フェアゾーンに飛んだ打球が安打になる確率を示す「BABIP」
出塁率・長打率がともに優れている柳田にとっては、OPSが超一流の水準である1.00を上回ることは決して珍しいことではない。自身初のMVPを獲得した2015年以降の6シーズン全てで.900を上回り、そのうち4度は1.00を超えている。キャリア通算でも.981という非常に高い数字を維持しており、常勝チームで主軸として活躍し続けている柳田の打撃力の高さが計り知れる。
また、BB%の分野でも、2014年以降は7年連続で.110以上の数字を記録。平たく言うと、最低でも10打席に1回は四球を選んで出塁している計算になる。.160以上というリーグ最上位クラスの水準に達するシーズンも多く、数字の面からも優れた選球眼を持ち合わせていることがうかがえる。
BB/Kに関しても、2015年を境に大きく改善。3桁の三振を喫したシーズンも5度あり、決して三振が少ないタイプの打者とは言えないが、2016年には三振数を上回る数の四球を選んでおり、総じてストライクゾーンの見極めには長けていると言える。
BABIPは一般的には「運の良さ」を示す指標として扱われることが多いが、柳田の場合はその構図に当てはまらない。この指標は野手の場合は各自の能力が少なからず反映されるが、俊足の左打者ゆえに内野安打が生まれやすい。また、打球の威力自体も並外れているため、フェアゾーンに飛ぶ球が安打になりやすい。キャリア通算の数字も、球界の標準値である.300を大きく上回っており、安定してヒットを量産できる理由の一端を示している。