ダルビッシュ、辛抱の先に見えた感覚「後は一つ一つのピースを正しい位置に持っていくだけ」
観衆8773人の中での登板「朝から感謝して幸せな気持ちになっています」
もっとも、カブレラ相手に体の開きを抑えてボールに体重が乗った見事な投球も披露している。
3回、2死二塁の場面だった。外角の速球をファウルで凌いだ好打者を、カウント1-2から茫然自失の見逃し三振に仕留めたのが膝元へのこの日最速の98マイル(約158キロ)の速球だった。ダルビッシュは「すごくいい球があそこにいった。今日のいいところだったと思います」と表情を和らげた。
辛抱強く投げ続けたからこそわかり得た感覚はこの日の大きな収穫。
「あとは、一つ一つのピースを正しい位置に持っていくだけの作業なので。そんなに悲観するようなことではないです」
降雨中止や降雪の中での開幕戦もあった中で、サンディエゴの試合開始時の気温は約29度。新型コロナウイルスの感染予防対策からカリフォルニア州の規定により、収容人員が20%以内の8773人となった本拠地ペトコパークに響く地元ファンの声援は励みになった。
「ファンの人もこれだけいるし、こんな最高の天気、最高の場所で投げられるのを朝から感謝して幸せな気持ちになっています」
新天地でのスタートを「自分の力不足」と評したダルビッシュ有の意欲は、メジャー10年目を迎えても変わることはない。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)