右肘手術から復帰を目指す巨人ドラ1右腕 「密かに」狙う最速更新と描く未来
同学年の左腕・井上温大の奮闘も刺激に
キャッチボールができるまでに回復した時、再び、右ひじに痛みを発したことがあった。しかし、術後も痛みが伴うことを事前に把握していたため、慌てず、耐えることができた。またチーム内に23歳の先輩、巨人・與那原大剛投手も同じリハビリを進めていたため、一緒にキャッチボールをさせてもらいながら、経験談を聞くことができたのも大きかった。
プロで戦うための体や心の成長も遂げている。もともと、高校時代からジュースは飲まずに水やお茶を摂取するなど、“食”への感覚が高かったが、今もしっかりと栄養士と相談しながら、食事も摂っている。
「もっと体を大きくしたいと思っていますし、今まで以上に食事のバランスを気にしています。僕自身、好き嫌いが多かったのですが、彩りを意識しながら野菜も摂るようにしていますし、疲労回復のためにフルーツを摂ったりとか、筋肉をつけるためにタンパク質も意識しています」
まだイースタン・リーグの登板はない堀田に対し、同学年の左腕・井上温大投手が2軍の先発ローテをまわっている。早く、井上のように試合で投げたいという思いが胸を締めつける。だが、今は我慢しながらボールボーイや、スコア付けなど“裏方業務”に徹している。
「試合を見ている時は、自分はストレートを武器に仕事をする投手にならないといけない、求められているなと思いました。今年から育成という形でスタートし、まだゲームで投げられていませんが、イースタン、そして本拠地の東京ドームで投げる姿を早く、見せられるように頑張っていきたいと思います」
高卒新人が入団直後に手術をするということは大きな決断だった。だが、堀田にとって今、大事なことは現時点でどれだけの未来を描けているか。インタビュー時、表情は明るかった。ロッテ・佐々木朗やヤクルト・奥川の同世代として注目される期待の右腕の目は、夏の復帰だけでなく、東京ドームのマウンドで躍動する姿をイメージしている。
○堀田賢慎(ほった・けんしん)2001年5月21日、岩手・花巻市生まれ。花巻リトルシニアから青森山田高に進学。2019年ドラフト1位指名。185センチ、84キロ。右投右打。昨年オフに育成契約となり、背番号032。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)