高校中退、野球部未所属 異色の経歴を持つ元阪神右腕が目指すNPBへの再挑戦

カーブの改良にも取り組み、NPB復帰を目指している【写真:喜岡桜】
カーブの改良にも取り組み、NPB復帰を目指している【写真:喜岡桜】

1軍選手を抑えられる投手へ、ボールを強く握る指の使い方とトレーニング

 阪神に在籍した4年間で1軍登板は7回のみだった。しかし、2018年にはウエスタン・リーグの最優秀防御率と最高勝率のタイトルを獲得し8年ぶりのリーグ優勝に貢献するなど2軍での成績は輝かしい。新たなトレーニング方法の導入や変化球の改善を行い“新たな姿”でのNPB復帰を目指している。

 トレーニング器具を使用する際に、すべての指を強く握るのではなく、意図的に中指と薬指と小指の3本に力を入れる。野球は競技の特性上、親指から中指を使って投球することが多いが他競技では中指から小指のすべてもしくはいずれかに力を入れるよう指導されることは珍しくない。指の使い方を意識することで、より強くボールを握れるようになり制球力が増したという。

 徳島へ入団するタイミングで思い切ってグラブも変え、小指を入れる場所に薬指と小指を入れた。右投げだが、生まれたときは左利き。普段の生活の中で、右手より先に左手が出ることや、左手の方が動かしやすい動作があった。左利きの感覚が残る投手は左手の使い方も大切にした方がいいことを学び見直すことにした。

 NPBの1軍選手から三振を奪える投手へと成長するため、カーブの改良にも取り組んでいる。オープン戦から様々な握り方を試し、すでに実戦で三振が取れる握りに辿り着いた。得意のストレートとスラットにも磨きをかけ、全ての球種が同じリリースの感覚、変化球はストレートと同じ軌道を経て変化していくように投げ込んでいる。前回徳島に在籍した2年間は先発を担うことが多かったが、今回は絶対的守護神だ。

「プロ入りを願ってやっていくしかないです。また新しい自分で勝負したいです」

 挫折を乗り越え、異色の経歴を持つ福永が一度は叶えた夢。NPB復帰の先にある1軍での活躍を見据え、貪欲に腕を磨いている。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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