「握手した手が大きかった」育成・坂本勇人が主将・坂本勇人と対面した衝撃

高卒捕手がぶつかる問題に加藤コーチは「一段抜かしはせずに…」

 加藤コーチは続けた。

「光るものはありますよ。『こういうことを次からやろうな』と話すと、次の日からそれを絶対に忘れないですね。当たり前のことかもしれませんが、当たり前のことができるって、この年では重要なんです」

 高校までには教わらない世界がプロにはある。加藤コーチも入団間もない頃、一番、苦労したのが年上投手とのコミュニケーションだった。言いたくても言えない、言う勇気がない、言うだけの引き出しがない……。プレッシャーに押しつぶされそうな経験もした。

「技術の方はこれからもっと伝えて行きますが、高校生で経験していない準備の仕方を教えています。私も途中出場や代打から始まり、少しずつ気づかせてもらった現役生活でしたから。一段抜かしをせずに、一段、一段、伝えていきたいと思います」

 坂本は加藤コーチの実体験のもと、コミュニケーションの取り方、投手の気持ちを理解することを今、学んでいる。

「捕手のすべてにおいての“奥深さ”を教わっています。少しずつ、慣れてはきていますが、まだまだだと思うので、これからも練習を積み重ねていきたいと思います」

 育成・坂本勇人捕手の旅路は、まだまだ始まったばかり。一歩ずつ、一歩ずつ、周りのサポートを受けながら、大きな舞台へと歩を進めていく。

○坂本勇人(さかもと・はやと)2002年4月15日、佐賀県生まれ。小学3年生で野球を始め、浜玉中で軟式でプレー。唐津商では1年夏からベンチ入り。秋から正捕手で高校通算16本塁打。右投右打。2020年育成ドラフト6位で入団した。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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