ロッテ唐川侑己はなぜ抑えられるのか? 140キロ前後でも打たれない理由

唐川の投球はロッテ守備陣の堅さにも要因が?

 その一方で、BABIPが.200台だった2011~2012年、2018年、2020年はいずれも防御率2点台以下と、やはり味方が打球をアウトにしてくれる可能性の高い年の成績は、かなり優秀な数字となっていた。2009年~2010年、2016年のように、BABIPが平均値付近でも一定以上の数字を残していたシーズンも少なくはないが、2020年に関しては、極端に悪い数字となっていた2019年の反動に近い側面があったかもしれない。

 ここで確認しておきたいのが、昨季のロッテのエラー数がパ・リーグ内で最少だったという点だ。チーム全体の投手陣が記録したBABIPも.293と、平均値である.300を下回る数字を記録。昨季のマリーンズが高い守備力を有しており、失点数自体を少なからず減らしていたことが、これらの数字かにも示されているのではないだろうか。

 奪三振を狙うというより打たせて取る投球がスタイルの唐川にとっては、2020年のマリーンズは、自身の持ち味を大いに生かせる環境だったということになる。投手のBABIPは年によって変化するものではあるが、この堅い守備が2021年も継続されれば、残留を決断した唐川にとっては、大きなアドバンテージとなるかもしれない。

 また、9イニングごとに記録する四球の数を示す指標である「与四球率」では、1点台を5度記録し、平均値も2点台前半と、キャリアを通じて優秀な結果を残している。2015~2016年は3点台と制球力の悪化が見られたが、この数値もリリーフに回ってからは改善の傾向が出ている。制球難から崩れる可能性が低いというのも、セットアッパーとしては頼もしい要素だろう。

 9イニングを投げた際の平均被本塁打数を示す「被本塁打率」においては、良いシーズンと悪いシーズンがはっきりと分かれている。2015年、2017年、2019年と、被本塁打率が1点台を超えるシーズンにおいては、いずれも防御率がかなり悪化していた。2019年は年間わずか6四球と優れた制球力を発揮していただけに、本塁打の多さが防御率の悪化につながったのは否めないところだ。

 その点、2020年の唐川は年間を通して被本塁打がわずかに1本であり、88.2回で2本塁打しか許さなかった2016年に次ぐ高水準の数字に。与四球率が過去2年間に比べて悪化しながら防御率を大きく向上させた理由としても、一振りで大量失点を喫する本塁打のリスクが極めて少なく、それによって、1失点が2度、2失点が1度、残りの試合は全て無失点と、炎上するケースが皆無だったことも大きいのではないだろうか。

ストレート、カットボール、チェンジアップで全体の88%を占める

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