ファームで奮闘するルーキーたち データ分析から見える可能性と特徴とは?

2021年の新人打者ファームでのアプローチ成績【画像提供:DELTA】
2021年の新人打者ファームでのアプローチ成績【画像提供:DELTA】

五十幡は高い確率でボールにコンタクトできる点が特徴に

 まず、さきほど高出塁率を記録していることを紹介した五十幡である。一般的に多くの打者は四球よりも三振を多く記録することになる。だが見極めに優れた上で、バットに当てる能力が高い一部の打者は、三振より多くの四球を記録することもある。現在の日本球界で言えば、吉田正尚(オリックス)や近藤健介、西川遥輝(ともに日本ハム)らがこうした成績を残すことが多い。

 五十幡はここまで、打席に占める三振の割合(K%)が15.1%に対し、四球の割合(BB%)が22.6%。四球>三振の条件に当てはまる。1球単位の集計データを見ると、五十幡のスイング率は38.7%。ファーム平均が46.1%であるために、一般的な打者よりもかなりスイングを控えている。

 ボール球スイング率は15.7%(平均は26.5%)と、極めて優秀だ。その上でコンタクト率(スイングした際にボールに当てる確率)は86.0%(平均は79.0%)と高い。慎重にボールを見極めながら安打や四球を狙うが、追い込まれても高確率でコンタクトし、三振を避けるタイプの打者である様子がうかがえる。

 ただ、五十幡はこうした打撃スタイルをとっている故か、長打の数は少なく、本塁打は0にとどまっている。そんな中で、五十幡並の打撃アプローチを実現しながら、長打を放つことも両立しているのが、さきほども紹介した内山だ。

 内山は五十幡ほどのペースで四球は獲得できていないものの、スイングを慎重に抑えてボール球を見極め、高確率でコンタクトすることに成功している。コンタクト率は今回対象とした新人16名でトップの86.8%。単に優れた打撃成績を残しているというだけでなく、打撃アプローチの面でも成熟したものを見せているようだ。

DeNAの小深田やオリックスの元はボールコンタクトに課題

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY