ファームで奮闘するルーキーたち データ分析から見える可能性と特徴とは?
DeNAの小深田やオリックスの元はボールコンタクトに課題
他の高卒新人打者では、阪神の高寺望夢もわずか59打席ではあるが、内山並の優れたアプローチを見せている。三振割合13.6%は今回対象とした16人の新人打者のうち最も優れていた。注目されている秋広はこの分野においては、ほぼファーム平均レベルの成績となっている。
一方で、大きな課題が見られる選手も当然ながら存在する。DeNAの小深田大地はボール球スイング率が23.3%と優れているものの、コンタクト率が60.7%と大きな弱点となっている。オリックスの元謙太も小深田同様に、コンタクト率が57.1%と、スイングしてもなかなかバットに当たっていない。2人ともプロレベルの投球にまだ順応できていない様子が数字からうかがえる。
元と同じくオリックスの来田涼斗は、コンタクト率については69.5%と悪いわけではないが、ボール球スイング率が44.2%と極端に高い。ボール球にかなり手を出してしまっているようだ。そもそも来田はボール球に限らずスイングする確率が57.8%(平均は46.1%)と極めて高い。積極的にスイングするスタイルであるため、今後も多くの四球獲得は期待しづらいタイプの打者かもしれない。
ファームの開幕から1か月半。まだ試合数もわずかであるため、打席単位レベルの打撃成績については今後も上下があるだろう。優れたOPSを残していると紹介した打者もシーズン終了時にはまったく振るわない成績になっていることも十分ありえる。ただ打者のタイプについては、現時点でもある程度傾向は見えてきている。単に打った、打たないだけでなく、振った、振らない、ボールに当たった、当たらないにも注目して、若手のプレーを楽しんではどうだろうか。
(※1)OPS(On-base plus slugging):出塁率+長打率。総合的な打撃能力を表す指標。
数値が高いほど、打席当たりでチームの得点増に貢献する打撃をしている打者と判断することができる。簡単に求めることができ、かつ得点との相関関係が強いことからセイバーメトリクスで重用されてきた。
(DELTA)
DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。