勝負の分かれ目となった犠打失敗 鷹・工藤監督の思惑と代打を起用しなかった理由
松田に代えて“ピンチバンター”今宮は「考えていなかった」
この日のベンチメンバーにはバントの“名手”である今宮健太が控えていた。続く川瀬にまで犠打をさせるほどに“なんとしても”走者を進めたい場面であれば、代打・今宮という選択肢もあった。だが、工藤監督は「松田に代えて代打でバントというのは考えていなかった」と断言。その理由も明かしている。
「この前成功している。あれが失敗していれば、考えました。ちょっと難しいだろうな、ということで、今宮くんを出してでもバントで、と。この前バント(のサインを)出して成功している人に、失敗するだろう、というこっちの勝手な憶測で代えることはできないですね。次は考えます」
布石は6月10日の広島戦にあった。1点ビハインドで迎えた8回、左前安打で出塁した甲斐を一塁に置き、松田は一発でバントを決めている。バントの指示があまり出るタイプの選手ではないが、日頃からバント練習も欠かさずに行い、決してバントが下手なわけではない。“決めてくれるはず”という思惑があっての、バントだった。
このバント失敗で流れを逃したのか、8回に2番手の板東が山田に勝ち越し2ランを被弾。この2点が響き、ソフトバンクは痛恨の敗戦を喫した。