好きな瞬間は「左打者の背中」 “マイ・ベスト”を追う球場の「カメラ女子」とは?

前の打席と次の打席で違いを見つけることができる

 Sakuraは今年、ロッテ・安田尚憲内野手のファンにもなったと言うが、そのきっかけもカメラにあった。打席に立つ安田選手にカメラを向けた、あるとき、「一打席一打席『結果を出そう』という意識が伝わってきたんです。それからも、ヒットが出たら次も打とうという雰囲気が伝わってきて、気づいたら安田選手にレンズを向けるのが面白いと思うようになりました」。

 また、野球の見方にも変化が訪れた。カメラを持ってから応援する選手の打席一つ一つへの集中力が上がり、「前の打席と次の打席とで、打撃がどういうふうに変わったか自分の中でかみ砕くことができるようになった」と言う。カメラを構えるようになって、野球を見る解像度も上がった。

 宮城県出身。地元の強豪・仙台育英時代からロッテ・西巻賢二内野手を応援し、西巻選手が楽天に入団した2018年に、初めてファームで野球観戦をした。

「そのとき携帯のカメラで西巻選手の写真を撮ったんですけど、全然キレイに撮れませんでした。そこで友達からコンデジを2万円で譲ってもらったんですけど、それでもまだ、もっと良く映したいという欲求があって。同じ年に1軍の楽天戦に行った帰り、ネットショッピングで一眼カメラを買いました」

 Nikonのデジタル一眼レフカメラ「D5000」と合わせ、望遠レンズも購入。レンズを選ぶ際は、すでにカメラ女子として観戦する野球女子たちの情報をネットで集め、TAMRON(タムロン)レンズを選んだ。機材は揃えたが、そこで満足せず、自分が取りたい色味などをシャッターを切るうちに突き詰め、ボディは「D5000」から「D3500」に乗り換えた。今は手放したそうだが、一時は大砲レンズも購入して使用した。

 決して安くはない買い物だが、「たくさん撮っている中でも特別に好きな写真が何枚かあって、それを携帯画面の背景にしたりして眺めています」と終始笑顔だった。

 カメラを持ったきっかけが野球というだけで、レンズを向ける対象は限られてない。

 Sakuraは、「景色やポートレートの写真も撮るようになり、野球とカメラのおかげで日常の楽しみの幅が広がった」と言う。カメラ一台から広がる新しい世界を、きっとSakuraだけでなく、球場のカメラ女子たちは知っている。

◇NFB(日本やきう女子機構)
野球好きな「やきう女子」が集まるコミュニティ、日本やきう女子機構(通称、NFB)。slack上での様々なトピックを通じたメンバー同士の交流をしながら、メンバーによる観戦イベントの企画、野球観戦がもっと楽しくなる情報発信をする『NFBマガジン』『球場コーデ』の運営などを通して、野球観戦の楽しむコミュニティ。

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(Full-Count編集部)

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