1度は野球を諦め電気工も経験 支配下登録の巨人・平間隼人が背負う“覚悟”
今季はファーム月間MVPも獲得「ピッチャーが嫌がる打者になりたい」
育成ドラフト1位で巨人に入団し、新人ながら、異例ともいえるキャンプ1軍も果たした。1年目の昨季は2軍戦出場は9試合も、今季はイースタン・リーグで51試合で打率.321。3、4月は打率.387でファーム月間MVPを獲得。アピールを続けた。
「最近、少し三振が増えているんですが、2ストライクからヒットが打てています。追い込まれてからの粘りができるようになったことが大きいです。ピッチャーが嫌がる打者になりたい。それを続けて自信にしていきたいです」
すでに退寮し、一人暮らしをしている平間は、タブレットなどを利用し、自宅で1軍の試合を見ている。野球のことを考えることの多い日々だが、心が癒される時間もある。
「3日に1度、甥っ子とテレビ電話をしていますね。僕は今、甥っ子のためにも頑張っています」
育成から支配下へ。期待を背負い、いよいよスタートラインに立つ。チームには同じ独立リーグの徳島出身で、とび職を経験するなど、経歴が似ている増田大輝内野手もいる。増田大は家族を残し、上京。育成から支配下登録をつかみ、1軍の戦力となった。自分が頑張りが家族の幸せにつながるのだから、守るものがある男は強い。
「1軍のレベルは行ってみないとわからない。自分がどれだけ力が足りないのか、どこが通用するのか、感じることできればいいと思います」
がむしゃらに、泥臭く――。でも、ある時は「キレキレ」で“四国一”のスピードで観客を沸かす。首位・阪神を追いかけるためには起爆剤は必要。そのキーマンになれるかもしれない。平間の駆けていく道が今、開けた。
○平間隼人(ひらま・はやと)1996年12月16日、徳島県生まれ。24歳。173センチ、75キロ。右投左打。鳴門渦潮高3年夏は県大会準優勝。独立リーグ・四国の徳島でプレーし、2019年育成ドラフト1位で巨人入り。背番号は002から93に。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)