子育て中に一念発起「夢を追いかける母でありたい」 全軟連初の女性理事が担う役目
「男性に理解してもらいながら形を作っていきたい」
全軟連で唯一の女性理事である頓所さんは今、47都道府県の軟式野球連盟に女性理事が何人いるのか調べている。「県連にもあまりいないらしいです。野球界にこんなに女性が少ないのは正直寂しく感じています。男女ともに競技があるのに。どうやったら女性を増やしていけるのか。男性に理解してもらいながら、いい流れの中で形をつくっていきたいと考えています」。
単に役員の数を増やせばいいという発想ではない。「女性が大人になっても、野球に関わることのできる場を増やすことですよね。理事という場所だけではなくて、放送だったり、記録だったり、審判だったり、いろんな場面があると思うんです。あんなにたくさんいる子どもたちが大人になって、みんな野球を諦めるわけですよ。女性だと監督やコーチのポジションも少ないですし。それが寂しいです。私自身はその楽しさを全部経験しちゃったから。今の子たちが大人になる時に同じものを経験させてあげたいので、そういう環境を増やしたいです」。
指導者、大会主催者、選手、さらに連盟と様々な関わり方をしてきた頓所さんだからこそ言える言葉だ。
理事会では粘り強く女子野球の必要性や女性の活躍の場をつくる大切さを訴えている。2人の子どもはすでに社会人。「子育ても終わって、残りの人生は、好きなだけ“野球、野球”って言っているおばちゃんでいようと思います」と茶目っ気たっぷりに笑う表情には、野球への熱い思いがあふれていた。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)