22日甲子園で高校女子選手権決勝 阪神タイガースWomen三浦伊織主将が贈るエール

運命の女子プロ野球誕生「とにかく打つことが好きだった」少女の転機

 大学へ進み、遊びで軟式野球をしようかと思っていたところで、運命のいたずらがあった。女子プロ野球の発足が決まり、トライアウトの知らせを耳にしたのだ。ブランクがあることは承知の上。ダメ元で受けてみることにした。

 とにかく、情報がない時代の挑戦だった。「全国に、野球をやっている女子がどれだけいるのかもわからない。でも受けに行ったら100何人もいて(強豪校の)神村学園のユニホームでアップしたりしていて、圧倒されました。私は所属もなくて、元々初めてのところにいくのが苦手で……」。硬球にも戸惑ったが、見事合格。後に当時の大熊忠義監督(元阪急)から「足が一番速かったから獲った」と聞かされた。

 自分より技術も、積んできた経験値も上という選手の中に放り込まれ、生来の負けず嫌いに火が付いた。「周りは高校でバリバリやってきた選手ばかりだったんですね。だからとにかく追いつきたいという思いだけでやっていたら、途中くらいから打つほうは行けるなと思えるようになってきて……」。1年目を打率2位で終えると「なんで、同じ練習をしているのに負けるんだろう」という思いが芽生えた。1位の選手をどうしても抜きたくなった。

 2年目も打率2位。3年目に念願の首位打者を獲ると、今度は「1度だけと言われるのは嫌だったんで……」と打撃を追い求め続けた。気が付けば女子プロでの通算468試合出場、569安打、242盗塁は歴代トップ、通算打率は驚きの.383だ。「テニスではどんなに頑張っても勝てなかったんですけどね」と苦笑するが、実はそのテニスをしていた時期にも、プレーに迷うとバッティングセンターを訪れることがあった。「点で打つんじゃなくて、線で打つのは野球とテニスの共通点じゃないですか。ここまで来られたのは、とにかく打つことが好きだったからかも、ですね」。遠回りを力に変えて、名実ともに日本女子野球界を代表する選手へと登りつめた。

もし、自分の高校時代に甲子園大会があったら…「目指すと思います」

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