甲子園で松坂大輔以来の「コール」を受けた12年前の準V右腕 今実感する“財産”とは…
「もしかして、あの伊藤さん?」甲子園が話のきっかけに
甲子園の激闘から10年後の2019年、伊藤さんは社会人野球の名門・ヤマハでユニホームを脱いだ。そして、監督から打診されたマネジャーの道を選んだ。スケジュール管理をしたり、用具を発注したり、野球漬けの生活から一変。社外の人や野球に携わっていない人と接することが大幅に増えた。
社会人経験の浅い伊藤さんにとって戸惑うことは多い。そんな時、助けになるのがあの試合。名刺交換で名前や出身地などを伝えると、「もしかして、あの伊藤さん?」と甲子園が話のきっかけとなる。世代が違っても、高校球児ではなくても、多くの人の記憶に残っているのだ。
「あの夏が人のつながりを生んでくれている。甲子園の経験は思い出ではない。今とこれからに生きる財産」
甲子園の伝説となった一戦は年月を重ねて輝きを増している。
(間淳 / Jun Aida)