女子高校野球の未来占う「史上初の甲子園開催」 舞台に立つ監督の“複雑な思い”
相手の神戸弘陵には最速123キロを誇る島野愛友利投手
女子野球に携わり、6年目を迎えた西内監督。史上初の「甲子園開催」を何としても成功させなければいけないという責務があることは、痛いほど分かっている。
「この大会が成功しないと、今後の女子野球の発展はまた元に戻っていってしまう。嬉しいことに、配信もあり、世間も注目している。その中で、見てくれる人が『女子野球って面白い』って思ってくれるような試合をしなければいけない。あとは、今後甲子園で女子高校野球が続いてくれば、必ず第1回大会として、ダイジェストで動画が出るじゃないですか。そうやって名前が出る場に立つことができるというのは、光栄なことですよね」
対する神戸弘陵は、中学時代に全国大会「ジャイアンツカップ」で胴上げ投手になった最速123キロを誇る島野愛友利投手がいる。女子野球の発展を考えると、少し本音も漏れる。「島野投手、スーパーですよね。将来の女子野球を担っていく選手。大袈裟かもしれないですけど、大谷(翔平)か、島野か。そのくらいになって欲しい。やられるなら、島野にやられたいですよね」。そうは言うが、もちろん目指しているのは日本一。「あと1勝なので。もちろん指揮を取る以上は全力で倒しに行きますよ」。負けるために行くわけではない。
もう、将来も見ている。「選手らが結婚して、子どもができたときに、『お母さんのように甲子園に行きたい』って子が目指してくれるような環境ができたら最高ですよね」。様々な気持ちを抱えながら、歴史的な舞台で指揮を執る。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)