「ウソやろ、できるわけないやん」から切り開いた道 レジェンド小西美加の野球人生

2021年から京都文教大の総監督に就任した小西美加【写真提供:京都文教大学】
2021年から京都文教大の総監督に就任した小西美加【写真提供:京都文教大学】

甲子園のマウンドで決意「女子野球を見てもらえるスポーツに」

 8月23日、全国高校女子硬式選手権の決勝が初めて、男子の選手権と同じ阪神甲子園球場で行われた。女子プロ野球で史上最多の82勝を記録したレジェンド・小西美加(京都文教大総監督)は、新たな歴史のスタートを「底辺拡大が認められたのかな。さらに高野連が受け入れてくれたのがありがたい」と喜ぶ。道なき道を歩いてきた小西の野球人生を振り返り、これから甲子園を目指そうという少女たちの道しるべとしたい。

 小西は女子プロ野球時代、甲子園で阪神-巨人戦の始球式を行ったことがある。ユニホームを着て、マウンドに立った。「聖地と言われ、ずっと女性は立てないとされてきた場所です。マウンドに立つと、観客の皆さんに包み込まれるんですよ。その日は超満員で……。4万6000人の視線が一点に集まり、脚が震えていたんですが、皆の心を掴もうと胸を張りました」。上がっていたのだろう。ロジンを触ることも忘れ、巨人の1番打者、坂本勇人内野手へのボールは頭を襲おうかというコースへ。両軍のファンから喝采、ヤジが飛ぶ中、意識の変化があった。

「これがプロなんだ。何万人もの期待を背負い、胸を張ってプレーすることができたら、女子野球も応援してもらえるスポーツになると確信したんです」

 女子野球の世界は今、2010年から11年間続いたプロ野球が活動終了している状態。もっと多くの人に知ってもらうには、新たに誰もが知るような“象徴”が必要だ。これからは「高校に行ったら甲子園がキーワードになる」と、新時代への期待は大きい。

 小西は野球をする道を自ら作りながら歩いてきた。「野球をすると言えば『ウソやろ、女の子ができるわけないやん』と返されてきました。私が今、高校生なら、もちろん甲子園を目指すでしょう。今は女子野球のレベルも上がり、素晴らしい野球を魅せることができると思います」。関係者の努力や理解、全ての条件が揃ったのが現在だという。

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