「ウソやろ、できるわけないやん」から切り開いた道 レジェンド小西美加の野球人生

野球女子代表にも3度の選出経験がある小西美加【写真:shochin16】
野球女子代表にも3度の選出経験がある小西美加【写真:shochin16】

陸上で結果出しても…「野球をやりたい気持ちを抑えられない」

 陸上でも結果を出した。それでも「野球をやりたい気持ちを抑えられないでいましたね……」。男子との練習は週1回がせいぜい。他の日は学校から帰ると、近所の路地で壁当てを繰り返していた。チョークで捕手を書き、たった1人の練習だ。両親からも「もう野球は辞めろ」と言われた。親にしてみれば「野球をしていてもその先の環境がない。またつらい思いをするんじゃないか」との思いがあった。

 高校野球をしてみたかった。受け入れてもらえると思っていた。ただこの頃になると、成長した男子に体力でかなわないという現実も身に迫ってきた。「高校野球をやっていた兄と、キャッチボールをするときに感じましたね。『140キロ投げられても……』という感じ。子どものころ、下手だった男の子にボールのスピードで抜かれたり……」。技術で勝てる部分はあったが、中学3年でソフトボールに転向しようと決めた。

 中堅手を選んだのは、一番肩が求められ、上から投げる機会が多いから。実際にバックホームが大得意で「ここでストライクを取れれば、(投捕間の)18.44メートルなんて簡単だろう」と思っていた。高校のグラウンドでは、野球部の練習エリアと外野同士が重なっており「野球のボールが飛んでこないかな……」と思っていた。「危ない!」という声が飛ぶと、喜んで硬球に向かって走った。「野球やりたいな。いつまで我慢すれば戻れるんだろう」。時にそう、空を見上げた。

 未来につながる、細い糸がみえたのはこのころだ。近所のおばちゃんが持ってきた新聞記事には「女子野球日本代表のトライアウト開催」とあった。協会があることを知り「次回は必ず教えてほしい」と念押しした。

 実際に飛び込む機会が訪れたのは1年後、高校3年の時だ。初めて東京に行きトライアウトを受けた。会場には200人近くの選手が集まり「こんなに野球やってる女の子がいはるんや!」と驚いた。後に“欽ちゃん球団”茨城ゴールデンゴールズでプレーする片岡安祐美と出会ったのもこの時。地方から1人で来たもの同士で、キャッチボールをした。今まで自分の周りにはいなかった女子選手を見て「この中で1番になりたい!」と、心に火が付いた。

日本代表トライアウトに現れた謎の少女「お前はどこでやってきたんだ?」

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY