元ヤクルト内野手が後輩の“モテ顔”選手にエール「変化が起きる可能性がある」

巨人・廣岡大志【写真:荒川祐史】
巨人・廣岡大志【写真:荒川祐史】

シーズン中に9件のトレードが成立、かつて今浪氏も経験「良かったことしかない」

 8月31日で日本プロ野球はシーズン中のトレード移籍期限を迎えた。今年は東京五輪のため例年より1か月延長され、キャンプイン後も9件のトレードが成立した。トレードによって、選手の働き場所が広がる効用を語るのが、日本ハムとヤクルトでプレーし、現在はスポーツメンタルコーチとして活動する今浪隆博氏。自らの経験を振り返るとともに、今季開幕直前のトレードでヤクルトから巨人へ移籍した廣岡大志内野手にエールを送った。

 今浪氏は2007年に日本ハム入団、トレードの知らせを聞いたのは8年目を迎えた2014年の開幕直後だった。以前なら“放出”というネガティブなイメージでとらえられることも多かったトレードも「僕にとっては良かったことしかない。プロ野球選手としてモデルチェンジをを果たせたんです。まさに“転機”でした」と振り返る。

 日本ハムでの今浪氏は途中出場が多く、それも守備要員という見られ方をしていた。二塁・田中賢介、遊撃・金子誠というレギュラーのバックアップという立場だった。彼らに何かアクシデントがあった時に、出場機会が回ってくる。ただ今浪氏はこれではプロとして生きていけないと考えていた。端的に言えば「給料が上がらない」からだ。

「どうやってお金を稼いでいくの? と考えた時に、打てる選手になろうとずっと考えてやっていた。栗山監督は僕が打ちたいんだということに気づいていたと思います。『最近、ナミの打球変わったよね』と言って下さっていたので」

 そのタイミングで迎えたのが、ヤクルトへのトレードだった。当時の日本ハムは、守備からリズムを作って、1点を守り切るチーム。そしてヤクルトは今も続く打撃優位のチームだ。この移籍は、今浪氏の変身を後押しした。「移籍当時のヤクルトは日本ハムと違い、守り勝つというより打ち勝つという印象でしたね。だから何も問題なく、自分のやりたいことをさせてもらえた。そういう意味では楽でしたね」。チームカラーによって選手に求められるものは全く違う。ところ変われば力を発揮できる選手がいるのだ。

 今浪氏は移籍2年目の2015年、68試合で打率.317を残し、セ・リーグ優勝にも貢献した。翌年はキャリアで最多となる94試合、240打席に立ち.279。今浪氏の変身は、移籍によって成功に終わった。「大事なのは環境です。トレードで環境が変わったことで、新しい考え方をプラスすることができました。もしトレードがなければ、打てる人になりたいという僕のモデルチェンジは果たせたかどうかわかりません」。やりたいことをやって、引退できたという。

動きが強く“モテ顔”の廣岡大志…坂本勇人との違い考え抜けばさらに成長

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