山本由伸にまたも苦戦を強いられたソフトバンク 打線の早打ちは“積極”か“淡白”か
工藤監督の考えは「粘ろうと思ってもなかなか粘れません」
いまや球界ナンバーワン投手と言っても過言ではない山本。ストレートは150キロ台後半をマークし、カットボールやスプリット、カーブなどの変化球も一級品。コントロールも良く、打ち崩すのは容易ではない。どう攻略するか、は各球団が頭を悩ますところだ。
ソフトバンク打線は山本と対戦する際、早いカウントからどんどん打ちに行く傾向がある。この日も各打者がファーストストライクからどんどんスイングを仕掛けていった。完封を許した1週間前は9回でわずか106球。制球がやや不安定だったこの日も8回まで120球で投げ抜かれてしまっている。見ているものとすれば『もっと粘って球数を投げさせれば……』とも思いたくなるだろう。
なぜ早打ちになるのか。粘って球数を投げさせるなどの狙いはないのか。工藤監督はこの日の試合前に、こう話している。
「早打ちを『淡白』と捉えるのかはチームとしての考え方なんです。ストライクが多い投手を相手に『粘って粘って』と言っても、粘れるボールがない場合もある。真っ直ぐばっかり投げてくれるならいいですよ? フォークがあって、カーブがあって、カットがあって、左右に投げ分けられて、それで粘ろうと思ってもなかなか粘れません。粘ろうとすると簡単に追い込まれて、簡単に打ち取られちゃいます。1球目打ってファウルになった、2球目打って凡打になった、というのと、1球目見逃してストライク、2球目見逃してストライク、3球目フォークで空振り三振となるなら、これだと思っていたボールを打ちに行かないとダメじゃないかなと思います」