「僕も興奮しました」DeNA三浦監督が今永&田中健“ダブル復活リレー”に込めた思い
「リハビリに取り組んでいる彼らにも、希望を与えられる投球をしていきたい」
2年ぶりの完投を狙う選択もあった。しかし、9回は三浦監督が別の粋な演出を考えていた。2番手の右腕・シャッケルフォードが2者を打ち取ると、左打者の糸原のところで、左腕の田中健に出番が与えられた。2016、17年に中継ぎで2年連続60試合以上登板するなど、チームのために投げ続けた左腕は、2019年にトミー・ジョン手術を受け、いったん育成選手となった。長いリハビリの末、今季2軍で実戦復帰。6月に支配下登録を勝ち取り、この日ついに1軍の舞台へ漕ぎつけた。1軍登板は2018年9月16日・阪神戦(横浜スタジアム)以来、3年ぶりだった。
代打・原口にカウント3-2から四球を与えたが、続く小野寺を2球で追い込むと、3球目のフォークでボテボテの投ゴロに仕留め、自ら一塁へ送球して試合を終わらせた。
田中健を出迎え、「ナイスピッチング! おかえり」とねぎらった指揮官。「条件が整えば投げさせたいと思っていた。打線が効率良く得点を重ねてくれたので、9回は最後の1人に行かせようと決めた。しっかり締めて、いい復帰戦になった。(試合後)田中はちょっと興奮していたし、僕も興奮しました」と明かした。
マウンドを譲った格好の今永も「僕も感慨深いものを感じましたし、健二朗さんのリハビリを見守ってきたトレーナーさん、コーチ、家族の皆さんは一層ぐっとくるものがあったと思います。健二朗さんが最後を締めてくれて、価値の高い試合になりました」とうなずいた。
今永と田中健が一緒に復活をアピールした試合となったが、DeNAのファームにはまだ、昨年2月に左肘のトミー・ジョン手術を受け、1軍復帰へステップを踏んでいる最中の東克樹投手、今年6月に右肘のトミー・ジョン手術に踏み切った平良拳太郎投手、8月に右肘のクリーニング手術を受けたドラフト1位ルーキー・入江大生投手らがいる。
今永は「リハビリに取り組んでいる彼らにも、希望を与えられる投球をしていきたい」と誓った。三浦監督の就任1年目で苦闘が続くDeNAだが1、2軍を通して一体感が生まれつつある。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)