群を抜く鈴木誠也、指標に優れる今永昇太 セイバー的視点で見る9月月間MVP
NPB公式の月間MVP候補には床田、松葉、栗林らが挙がるが…
各チームのRSAA上位3人は以下の通り。
巨人 菅野智之4.18 デラロサ3.04 畠世周2.58
阪神 スアレス2.52 伊藤将司2.52 岩崎優2.15
中日 大野雄大4.18 松葉貴大2.82 藤嶋健人2.07
DeNA 今永昇太6.67 エスコバー3.00 大貫晋一2.98
広島 床田寛樹1.58 島内颯太郎1.29 菊池保則1.00
ヤクルト 奥川恭伸5.15 星知弥2.67 スアレス2.61
9月の公式の月間MVPの候補として上がるのは、先発投手陣では、広島の床田寛樹(3勝1敗、防御率0.93、QS率100%)、中日の松葉貴大(4勝1敗、防御率0.95、QS率60%)の2人、救援投手では広島の栗林良吏(6試合6セーブ、防御率0.00)が挙げられる。だが、セイバーメトリクスによる評価では、DeNAの今永昇太を挙げたい。
今永昇太 WHIP0.70 FIP1.74 tRA1.82
奪三振率7.50 K/BB 25.0 被OPS.474
床田寛樹 WHIP0.76 FIP2.67 tRA3.33
奪三振率7.14 K/BB 3.29 被OPS.430
松葉貴大 WHIP1.02 FIP2.87 tRA2.92
奪三振率4.45 K/BB 2.80 被OPS.560
栗林良吏 WHIP1.33 FIP3.37 tRA4.12
奪三振率9.00 K/BB 1.20 被OPS.470
tRAや被OPSなど包括的な指標での評価により、今永の優位性が見えてくる。特に注目すべき点は四死球の少なさと打たれた打球の質である。9月の今永の四死球は9月5日の中日戦で先頭打者の京田に与えた1四球のみ。そして、ゴロ打球51%、内野フライ8.6%とtRAの数値に良い影響を与える打球が多かったことが示されている。
また、今永の9月の成績は4試合登板で防御率1.50、QS率100%、HQS率75%と先発投手としての役割を十分に果たしてチームに貢献している。よって、セイバーメトリクス目線で選ぶ9月の月間MVP投手部門に今永昇太を推す。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。