元ドラ1が危惧する「一番危ない」指導とは? 金の卵のブレークを阻害する“過干渉”
パニック起こす選手「いろんなこと言われて、頭では分かっているけどできない」
危惧するのは、過干渉。「一番危ない。自分で考えてできる選手には、そんなにアドバイスはいらないと思います」。間近で見てきた“成功例”は、今季プロ4年目で本塁打王を獲得したヤクルトの村上宗隆内野手。「『1年目からあのバッティングできんの?』ってくらい完成されていました。言うことないくらい仕上がっていました」。必要最小限の指導が、最短でのブレークにつながった要因であるとみる。
一方で、“遠回り”したドラ1も見てきた。高校の後輩である中日の高橋周平内野手は、3球団競合の末にプロ入りするも、規定打席に到達したのは7年目。何度も何度も打撃で試行錯誤を繰り返し、苦しみの先に自らの地位を確立した。村中氏は、高校時代の高橋の姿を引き合いに「何も変える必要ないじゃんってくらい、すっごいバッターだなと思ったのを覚えています」と強調。もちろん指導が全ての原因とは思わないが、選手の“咀嚼力”にも限界があると言う。
「いろんなこと言われて、頭では分かっているけどできないんです。余計に訳が分からなくなって、パニックになることが多い」
“教えること”が指導の全てではない。あえて口出しせず、見守ることも指導のひとつ。プロ入り前から引退後は指導者を志すと決めていたという村中氏は「自分を実験台にいろいろ試してきました。引き出しは多いに越したことはないので」と知識を蓄えてきた。「どこが悪くて、どこを直しちゃいけないか、指導者には見極める責任がある」。自らにも言い聞かせ、第2の人生を歩んでいくつもりだ。
(First-Pitch編集部)
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