「山賊打線は終わってます」西武渡辺GMが明かした“平石コーチ招聘”の理由
主力のFA移籍相次ぎ今季チーム打率はリーグ4位、得点は5位
同大、トヨタ自動車を経て、楽天に外野手して入団。7年間の現役生活後、楽天でコーチ、2軍監督などを歴任した。2018年のシーズン途中から1軍監督代行。翌2019年には正式に監督に就任し、チームを前年の最下位から3位に押し上げたが、任期満了を理由に退任した。昨季と今季はソフトバンクで1軍打撃コーチを務め、工藤公康監督の退任に伴い退団していた。現役引退翌年の2012年以降、球団は変わっても、絶え間なくユニホームを着続けている。指導者としての評価、需要が高い証拠だろう。
渡辺GMは「私は一緒にやったことはないが、平石君の人間力、コミュニケーション能力の高さはいろんな人から聞いている」と評価。「(今季2軍監督を務めた)稼頭央を1軍ヘッドに置くと決めた時点で、平石君の名前は私の頭の中にあった」とPLコンビの連携に期待を寄せた。
西武は今季、1979年以来42年ぶりの最下位に沈んだ。2018年と19年には、通称“山賊打線”の破壊力もあってリーグ連覇を達成したが、2018年オフに浅村栄斗内野手が楽天へ、2019年オフには秋山翔吾外野手がメジャーリーグのレッズへ、それぞれFA移籍。得点力ダウンは否めず、今季はリーグ4位のチーム打率.239、同5位の521得点に終わっている。中村剛也内野手と栗山巧外野手のチーム野手最年長コンビも、来年は39歳になることから、若手野手の育成が急務だ。
渡辺GMは「山賊打線は終わってます」とキッパリ。「3、4年前は凄い打線だったが、FA権を取っていなくなった選手がいるし、相手にも研究された。打撃部門を改革していかなければならない中で、いろんな発想を持っている人に(コーチを)お願いしたかった」と“新しい血”を入れた。
「幸い、今季は若い選手が新しく出てきて、それなりに経験を積んだ。ただ、決め手がなくて誰もレギュラーを取れていない。あとは競争。チャンスをつかみ取り、レギュラーポジションを確定してほしい」と付け加えた渡辺GM。川越、岸、愛斗、若林、ブランドンら、ひしめく若手野手の中から、押しも押されもせぬレギュラーを育て上げることが、平石コーチに課せられた役割の1つとなる。新山賊打線を作り上げ、その手腕に対する評価をまたワンランク上げることになるか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)