子どもを伸ばす“安易に褒めない指導” 地域に根差した道産子チームが全国3位の秘密

低学年の子どもたちにも70~80キロ程度のボールを打たせる指導

 平日の練習で取り組んだ課題を、週末の実戦練習や試合で披露。また課題を見つけて練習するというサイクルが、成長を加速させる。冬場に室内練習場で行う紅白戦も、レクリエーション的な雰囲気はなく、次の塁を積極的に狙うなど真剣そのものだ。

 今夏成果を発揮した打撃については、一昨年に購入した打撃マシンが活躍した。冬期間の体育館練習では、硬式テニスのボールをマシンに入れて使用。本格的に野球を始めたばかりの低学年の子どもたちにも、素振りやティーばかりではなく、70~80キロ程度の速さのボールを打たせる。

 その際に伝えるのは「振った後にグラグラせず、しっかり立って、打球を目で追いなさい」という1点だけ。「当たるようになるまでは、打ち方を教えずに見守ります。数をこなして、まずは前から来る打つ感覚をわかってもらうことから」と狙いを説明する。最初はバットをしっかり振り切ることができず、ボールに当たらない子どもでも、徐々にスピードに慣れて当たるようになっていく。

 6年生になると、70~80キロの緩い球と100キロ前後の速い球を交互に打たせる。坂下監督は緩いボールを引きつけて逆方向に打つ感覚は、この時期に養われると考えている。「体格やボールが変わる高校生になっても、打ち方に面影が残っていると感じることがあります。その面影とは学童時代にしみついたもの。そうであれば学童での指導がとても大切で、その感覚を養うことが大事」と将来を見据える。プロ野球を頂点とした日本球界の底辺を支える少年世代の指導に心血を注ぐ。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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