鍵は「育成システム」と「キャリア支援」 鷹育成ドラ1の心境を変えた球団の説明

関東の名門大から「4年後にドラフト1位を目指そう」という声も

 その藤野は、2人の兄が進学校で野球に打ち込む背中を追いかけ、自身も地元の進学校である戸畑高で野球をする道を選んだ。真面目で素直な性格で、チームをまとめたり引っ張ったりするようなタイプではないが、常に物事を冷静に考えることができ、それは野球にも生きている。夢に対しても冷静だ。

「プロ野球」という憧れの世界に浮足立つことなく、自らの実力や将来のことを冷静に考えて生きてきた。「育成なら進学」という決断もそう。長い人生を考えれば、大学を卒業した方がいいのではないかと感じていた。関東の名門大から誘いと共に「育成だったら4年後にドラフト1位を目指そう」という声も掛けてもらった。2人の兄と姉が大学で勉学に励んでいる姿も見てきた。様々な人の意見にも耳を傾けながら、最終的には「育成ならば進学」と意思を固めた。

 だからこそ、指名されてしばらくは「頭の中が真っ白でした」と振り返る。高校では「プロ行くんやろ」と騒がれたが、「まだ分からない」と答え続けた。「本当にスゴイこと」と声を掛けてくれる友人もいた。育成とはいえ、プロ野球の世界に飛び込むチャンスを得られたこと自体が凄いことだとは本人も分かっていた。ただ、心の中に何か引っかかるものがあり、決断しきれないまま時間は過ぎていった。

 プロ入りへ前向きになれたのは、ドラフトから10日後にあったソフトバンクからの指名挨拶を受けてからだった。藤野の心を最も動かしたのはソフトバンクの「育成システム」、そして「セカンドキャリア支援」についての説明だった。ソフトバンクからドラフト前に送られた調査書にパンフレットも同封されており、何となくは把握していたというが、指名挨拶ではよりリアルな話を直接聞くことが出来た。

父の武彦さんも安心材料に「ソフトバンクに入社するようなもの」

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