「想像もできなかった世界」へ 巨人・島野愛友利が進む先にある女子野球の未来
高いレベルと熱中できる環境を求めて、悩んだ卒業後の進路
進路選びの軸としたのは“野球に熱中できる環境”かどうかだ。今春卒業予定の神戸弘陵も、石原康司監督が抱く野球への情熱と、校舎に隣接する女子硬式野球部専用グラウンドなどの練習環境が入学の決め手だった。卒業後の進路を考える中、レベルの高さを求め、男子だけで構成されたチームへ入ろうかと悩んだ時期もあった。神戸弘陵で教職員・女子野球部コーチを務めている埼玉西武ライオンズ・レディースの川中ももさんに、NPB球団やクラブチームで働きながら現役選手を続ける道について何度も相談した。
そんな島野が巨人入りを決心したのは、これまで感じていた女子野球選手の進路の難しさも理由のひとつのようだ。
女子硬式野球部を有する学校は年々増加中だが、2022年1月現在で高校約40校、大学約10校と選択肢が少ない。女子プロ野球は無期限休止を発表し、クラブチームや社会人チームも数が少なく、運営母体は男子ほど大手企業が名を連ねているわけではない。女子ソフトボールと比較すると圧倒的に進路の幅が狭いのが現状だ。