「やることなすこと成功してきた」 元同僚が語る“新庄監督”の可能性と上位進出の鍵

日本ハムで活躍した田中幸雄氏【写真:荒川祐史】
日本ハムで活躍した田中幸雄氏【写真:荒川祐史】

「今季はAクラスで十分、ましてや優勝させれば…」

 新庄監督の持ち味は指揮官就任後、新たに導入された練習方法にも生かされている。昨年11月の秋季キャンプでは、グラウンド内にワゴン車を入れ、監督自らその屋根の上に立ってノックバットで理想的な高さを示しながら、山なりにならないように送球練習をさせた。そして春季キャンプでは、約3メートルの高さに設置された直径約80センチのフラフープの中を通す「低く、強い」ボールを投げる練習をさせている。斬新で工夫を凝らしたメニューの数々に、田中氏は「選手の能力を高める方法を見出し、提供し続けている」とうなずく。

 日本ハムは昨季、開幕直後から最下位に低迷。シーズン最終盤に西武を抜いて5位でフィニッシュしたとはいえ、今季も戦力的に上位進出を予想するのは難しい。「昨年12勝のエース・上沢(直之)、新人ながら10勝を挙げた伊藤(大海)を擁する投手陣はある程度計算できますが、問題は野手陣です」と田中氏は見ている。

 昨年のチーム打率はリーグワーストの.231。特に長打力不足が深刻で、チーム本塁打はリーグワーストの78発。2桁本塁打を放った選手は11本の近藤健介外野手だけだった。シーズン中に主砲の中田翔内野手の暴力行為が発覚し、巨人へ無償トレードされた上、オフには西川遥輝外野手、大田泰示外野手も“ノンテンダーFA”として放出。田中氏は「現時点で不動のレギュラーと呼べるのは近藤1人。若手の台頭が不可欠」と語る。

「本塁打が全てではないとはいえ、20~30発打てる選手が3人はいてほしい」と田中氏。新庄監督の指令で約9キロの減量に成功した清宮幸太郎内野手、成長著しい万波中正外野手、高卒3年目の昨季10試合で4番を務めた野村佑希内野手らに期待がかかる。タイプは違うが、快足の2年目・五十幡亮汰外野手も注目の的。「元阪神の赤星憲広氏のような選手になれるかもしれない。五十幡が出塁して即盗塁、近藤が返すパターンができれば得点力は上がる」と田中氏も期待を寄せる。

「今季はAクラス進出で十分。ましてや優勝させれば、新庄の力は凄かったという結論になる」と田中氏。あの手この手で打力をアップさせることが躍進への第1歩となりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY