通算犠打ゼロの宮崎でも送りバント “琢朗イズム”注入のDeNAにOBが期待するワケ
「極論を言えばノーヒットで点を取りたがる」
2018年にはヤクルトで、石井コーチが1軍打撃コーチ、野口氏が1軍バッテリーコーチを務めた。「琢朗さんは、極論を言えばノーヒットで点を取りたがる人です。理想は四球で出塁した走者に二盗させ、送りバントもしくは進塁打で走者を三塁に進め、内野ゴロか外野フライで1点を取ることだと思います」と野口氏は解説する。
昨年のDeNAはリーグ2位のチーム打率.258、同2位の559得点を誇ったが、決して効率のいい攻撃とはいえなかった。チームの盗塁数はリーグワーストの31。犠打もリーグ5位の81にとどまった。「シングルヒットが4本出るか、走者をためて誰かが一発を打つ以外に、ほとんど得点パターンがなかった」と野口氏。そのDeNA打線を石井コーチが変えようとしている。
一方で野口氏は「宮崎や柴田(竜拓内野手)は1度で決めていましたが、それ以外の小技を求められる立場の選手が結構失敗していたのが気になりました。バントを失敗したり、ヒットエンドランの場面で空振りしたり、一、二塁間への進塁打が求められている場面で遊ゴロを打ったりしていました」と指摘。「もっともっと練習していく余地があります」と課題を挙げた。
能力が高い打者が多いだけに、つながりが生まれれば得点力はさらにアップする。野口氏が「投手陣がある程度整備されれば、今年は優勝争いに絡んでもおかしくない。それくらいの戦力だと思います」と高く評価するゆえんだ。“琢朗イズム”が浸透すればするほど、今年のベイスターズファンは大きな夢を描くことができそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)