部員7人の廃部危機から45人の大所帯に 僅か5年で復活した少年野球チームの指導法

「親御さんは、お前たちがバントをするためにバットを買ったわけではない」

 選手には遠くに飛ばし、速い球を投げることを求める。「小学生の時はバントよりも遠くに飛ばすのが楽しいじゃないですか。勝つために1球待ったり、身体が小さいからバントさせたりすることはないです」。選手には「親御さんは、そのバットをお前たちがバントをするために買ったわけではない。ホームランを打ってほしいから買ったんだよ」と伝え、たとえカウント3-0からでも思い切りスイングさせる。

 その言葉を体現したのが中嶋くんだった。昨年末に行われた「NPB12球団ジュニアトーナメント2021」のイーグルスジュニアとの予選2試合目。2点を追う2死満塁、カウント3-0の場面で甘く入った直球を迷わず振り抜いた。

「第1ストライクが一番甘いと(立石監督から)言われていたので」と中嶋くん。惜しくも打球は右翼ポールの右側を通りファウルになったが、神宮球場のスタンドに届く衝撃的な打球に観客、ベンチも騒然とした。

 小林キラーズでは、バントなどの練習をしないわけではない。「練習はさせます。必要な要素ですから」。基本的な技術指導をしっかりした上で、試合では「野球を楽しむ」ことを優先させている。伝統あるチームが復活した背景には、立石氏による時代に合わせた指導があった。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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