中日・根尾昂には「何冊も教科書を…」 “師匠”大島洋平が指摘する不器用さとは
通算2000安打目前の安打製造機が間近で見てきた“強み”と“課題”
誰もが羨む可能性を秘めているからこそ、外野からの声もうるさくなる。実に4球団が競合した2018年のドラフト会議をへて、プロの世界に飛び込んで4年目。中日の根尾昂内野手は、課題の打撃に向き合っている。秘めた潜在能力を、結果へと結びつける模索の日々。間近で見てきた大ベテランのヒットメーカーは、理解力の中に不器用さもあるとみる。
沖縄・北谷町での1軍キャンプ。メイン球場に隣接する室内練習場で、根尾はバットを持ったまま目を閉じていた。頭の中の整理と、感覚をすり合わせていく作業。試合メンバーからひとり外れ、居残りで森野将彦打撃コーチから1日中マンツーマンで指導を受ける日もあった。
まだ4年目か、もう4年目か――。球界を見渡すと、確かに早熟の選手は少なくない。投手に比べて時間がかかると言われる高卒野手でも、ヤクルトの村上宗隆内野手のように一気にスターダムに駆け上がったケースもある。「そろそろ……」。溢れる期待感の中に、わずかばかりの懐疑心が混ざってくる時期でもある。
プロ野球ファンならずも名前は知っている甲子園のスター。昨年はキャンプからオープン戦にかけて打撃で存在感を示し、左翼で開幕スタメンをつかんだ。5月には、プロ1号を満塁本塁打で飾った“持ってる男”。取材に対する受け答えには知的さがにじむ。持って生まれた賢さは、こと野球にも通じているという。