ホームベースのサイズ変更、試合は7回→6回 未来を見据えた学童野球のルール改正
子どもの怪我につながりかねない指導は「規制するしかない」
怪我防止は少年野球の最重要課題といえる。試合や練習での登板過多で肩や肘に重い怪我をして、手術をしたり、野球を断念したりする子どもがいる。小林氏も「投手の肩と肘の故障は統計的にも増えている。早急に手立てしなければいけない」と危機感を口にする。全軟連が開催している全国大会では、医師による肩と肘のエコー検査を行っているが、症状が重く投球禁止と診断される選手もいるという。全軟連では肩や肘への負担を減らすため、1日の投球数を70球(4年生以下は60球)までに制限している。だが、これだけでは不十分と考え、今回2つのルール改正を決めた。
小林氏はルール改正が“最終手段”と捉えている。チームの指導者が子どもたちの体や将来を考えて指導や采配するのが理想であり、本来あるべき姿。だが、一部の指導者には意識が共有されていない現実があるという。
「特定の選手が肩や肘に負担がかかる投手や捕手に偏っているチームがあります。2ストライクまでバットを振らないように指示を出す指導者もいます。本来、野球は積極的にスイングして楽しむものですし、どうやったら子どもたちを守っていけるのかを全ての指導者が考えていれば、ルールはいらないんです」。ルールによる規制は可能な限り避けたい手段なのだ。
改正にあたっては、新たなルールを導入した場合、どんな影響があるのかを検証するための試合を全国各地で実施した。試合後には両チームの指導者や保護者、審判といった関係者にアンケートを取った。試合時間の短縮とホームベースのサイズ変更に異論はなかったという。全軟連では、こうした検証試合や整形外科医らを交えた委員会を通じて、ルール改正の必要性を協議している。
「野球は相手があって初めて試合ができます。相手への敬意を欠く作戦や、子どもたちの怪我につながりかねない指導は規制するしかありません。ただ、ルール改正の必要がないのが一番です。来年、再来年に新しいルールを打ち出さなくていいようにしたいと思っています」と小林氏。変えるべきは子どもたちを縛るルールではなく、大人たちの意識にある。
(間淳 / Jun Aida)
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