進路を明確にするのは先輩の“生の声” 大学で文武両道を目指す常総学院の進路指導
先輩たちがあいさつに来る際に後輩に進路指導するのが恒例になっている
選手たちが進路を意識するようになるのは、2年になってからだ。カギとなるのは、先輩の声。「基本的にOBがあいさつに来たら、大学の話を話してもらうようにしています」。実際の大学生の声を聞くことで、行きたい学校が明確になってくる。その後、2年の終わりごろに面談を通じて、進路の希望を調査する。
甲子園常連の強豪校のため、野球中心の学校生活かと思えば、意外にもそうではない。テスト前には必ず、ホール勉強と呼ばれる選手同士での勉強の進捗確認を行う。また寮でも、平日の2時間を自主練習もしくは自主勉強の時間を設定する。選手たちはテスト前や大会前など期間に合わせて、練習と勉強を両立させるのだ。
各教科の教諭たちも強力な味方だ。「野球部だから勉強しなくても大丈夫というのはないです。むしろ野球部だからこそ厳しく指導して頂いております」。学校にとっても野球部はシンボルであるため、決して勉強をおろそかにはさせないのだ。
「もちろん、大学に行かなくても将来幸せな人はたくさんいます。選択肢のひとつとして考えてほしい」と前置きするが、その中でなぜ大学でも文武両道を目指すのか。松林氏が願うのは、社会で活躍できる人材になってもらうことだ。そのためには、勉強、野球の一辺倒ではダメだと考える。「ゴールは高校野球ではないので。大学へ進学し、勉強する習慣をつけて、野球を通じて知見を広げてくれれば、将来の選択肢も広がると考えています」。常総学院の進路指導は、大学進学だけでなく、先のキャリアまで見据えている。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)
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