世の野球ママは「頑張りすぎ」 洗濯王子が教える“泥だらけ”ユニホームを洗うコツ

究極を求めてユニホームを白く“し過ぎる”のは「趣味の領域」

――相談を受けた方に最後はどのように背中を押したのですか?

「十分、綺麗になっているということと、そこまで綺麗にしなくていいと思いますということをお伝えしました。そうしたら、すごくホッとされていました」

――汚れを落とすことも大事ですが、そこにだけフォーカスを当てると疲弊してしまったり、気持ちのバランスも崩れてしまいますね。

「僕も汚れを落とす方法を伝えていますし、プロなので完全に汚れを落とすことに目が行きがちです。でも、それを料理に置き換えたら、家で“フルコース”を作ることと同じです。それは必要ない感じもします。野球の練習着とかだったら、そこまで毎回、綺麗にしなくてもいいという側面もあると思うんです。基本最低限、洗濯機でしっかり動いて回っていて、洗ってあるのであればまずはいいんじゃないかなと思います」

――世の野球少年の保護者の皆さんは洗濯が「大変」かと思います。忙しいお母さんが予洗いにかけるための推奨時間はどれくらいでしょうか?

「まずは、洗濯機の中でしっかりと汚れが落ちる状態を作ることが大事です。今の洗濯機は水が極端に節水されてしまっているので、水量を自動の設定よりも増やしましょう。そして、詰め込み過ぎないようにして、中で衣類がしっかり動く状態を作ること。その上で洗剤量をキチンと入れることが大事です。この、3つの量を適切にするのが洗濯の基本です。それでも落ちないようであれば汚れに予洗いをプラスするといいと思います。予洗いそのものは、10分から最大で15分くらいでいいと思います」

――10分から最大で15分くらいでいいんですね?

「汚れ具合によると思うんですけど、10分も予洗いしたら、十分過ぎるくらいだと思います。世のお母さんはすごく忙しいですし、他にやることいっぱいあると思います。それ以上、綺麗にしたかったら、時間や手をかければ白くなります。ただ、そこは自分の好みです」

――他の子のユニホームと比べてしまうことも多いみたいですが、つまり、お母さん方も自分の基準をつけるということが大切だということですね。

「そうですね。そのためには何回も洗っているうちに落ちる汚れもあります。本当に、その汚れに“ピンポイント”で手をかけていくとか、完全に汚れを取り除く方法はあります。かなり白くできると思うんですけど、それはもう趣味の領域です。そこまで行けば、洗濯が楽しくなっていると思います。汚れとの戦いを楽しめるかどうか(笑)。ユニホームの白さは、洗濯の基本をキチンとおさえたら、プラスアルファの部分はその人の基準でいいと思います」

○中村祐一(なかむら・ゆういち)1984年3月1日生まれ。長野県伊那市出身。洗濯家、国家資格クリーニング師。小学3年生の頃から野球を始め、長野県内で高校までプレーした。ポジションば三塁手。高校卒業後、上京し、クリーニング店で修行。長野に帰省後、家業のクリーニング店「芳洗舎」の3代目となる。現在はインターネット上でも積極的に洗濯やクリーニングのアドバイスを送る。1男1女の父。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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