練習時間の短さはハンデにならない 「部活動指導員」が語る究極の練習法とは
試合で「何対何で勝ちたいのか?」…この問いかけが持つ大きな意味とは
――“家城さん式”の練習法では、毎日の練習テーマを子ども達が設定するということですね。
そうです。今、「教えないスキル」が流行ってるじゃないですか。でも教えない指導者なんていませんよ。では、教えないスキルとは何かというと、答えを子どもたちから、引き出してあげることだと思うんですよ。
――少年野球も15年近く、指導をされていましたが、年齢によって指導方法は様々なんですね。大きくなればなるほど、大人ではなく子どもたちが考えながら、チームを作っていくということですか。
私にもこういうチームにしたいという考えはあります。でも大事なのは指導者のやり方を押し付けるんじゃなくて、子どもたちがどういうチームにしたいのか考えさせることなんじゃないか、と。私は新チームなった時に、必ず(試合で)「何対何で勝ちたいのか?」ってスコアのイメージを聞きます。常に練習でその点数を子どもたちに問いかける。「それで8点取れるの?」、「3点以内に抑えるにはどうするの?」といった感じにしています。
――問いかけることで、子どもたちがそのスコアで勝つために、どういう練習をすればいいのか考えるわけですね。
「8点どうやってとりたい?」と聞いて、「打って取ります」と返ってきます。「スクイズは絶対にしないの?」と聞いて、「しないで負けても、後悔ありません」と答えたら、バントの練習はしなくてもいいんです。それが正解かはわかりませんけど、限られた時間でどう練習するか考えた時、一つのやり方なのかなという気はしています。
――相手のチームレベルうんぬんの問題ではなく、自分たちがどうやって戦っていくのか。そういう考えを子どもに植え付けることで、主体性を持たせている気がします。指導者は子ども達がチームを作っていくサポート役なんですね。
チームという枠があって、その中に子どもたちが入ってきた時に、収まりきらず飛び出た部分が、チームの強みだと思うんです。子どもを型にはめるのではなく、はみ出た部分を大事にしていく。教育的観点からいっても部活動では、そういうチーム作りをすべきではないかと考えています。
○家城雅一(やしろ・まさかず)1960年5月27日生まれ、東京都出身。桐蔭学園中学、高校で野球部に所属し選手として技術を磨き、大学までプレー。日本マクドナルドで少年軟式野球などスポーツマネージメントに携わるかたわら、指導者として世田谷区の学童野球チームの監督を15年経験した。2012年に日本スポーツ協会の公認コーチ資格を取得。2015年にスポーツメンタルコーチ認定資格を取得し、2017年8月からは三鷹市立第ニ中学校の部活動指導員として野球部の指導にあたっている。
家城さんら4人のスポーツメンタルコーチが、それぞれの強みを生かし、ジュニア世代にメンタルトレーニングを実践している「せたがやHERAT-LAB」で、親コーチ向けオンラインイベントを開催しています。次回のテーマは「もっとチームの役に立ちたい! 親コーチ勉強会」。子どもの自主性を高めるための「効果的な声かけ法」を学ぶ勉強会です。
開催日時:2022年4月14日(木)20:00~21:30
開催方法:オンライン(Zoom)
※お申し込みのあった方へ、当日のZoom URLをお送りします。
参加費:無料
ホームページ:https://www.setagayaheartlab.com/
(石川哲也 / Tetsuya Ishikawa)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
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