松坂大輔育てたシニアに「待て」のサインがない理由 80歳の総監督が貫く“信念”

江戸川南リトルシニア・有安信吾総監督【写真:羽鳥慶太】
江戸川南リトルシニア・有安信吾総監督【写真:羽鳥慶太】

江戸川南リトルシニアの有安信吾総監督は野球経験なしからコーチを開始

 東京都で活動する江戸川南リトルシニアの有安信吾・総監督は80歳。1人の父兄として踏み込んだ指導者生活は、40年になろうとしている。松坂大輔投手(元西武)や小谷野栄一内野手(元オリックス)らのプロ野球選手を育て、少年野球の世界をずっと見守って来た生き証人だ。「パパコーチ」として始まった紆余曲折の指導者人生を振り返る。

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 私が少年野球の指導をするようになったのは、かれこれ40年近く前、長男が小学校3年生の時に江戸川リトルに入りまして、しばらくしてコーチをやってくれないかと声がかかったのがきっかけです。私は本格的な野球経験がないもんで、最初は断りました。でも息子がお世話になっているのに、断ってばかりもいられないと思って引き受けた。要するに「お父さんコーチ」からのスタートだったんです。

 最初のうちは指導法も手探り。でも勉強はずいぶんしました。他のコーチみたいに高校で(野球を)やって、大学でやってっていうんじゃなかったですから。ちゃんと勉強して指導しなくちゃ、子どもたちに申し訳ないと思いましたから。

 当時、江戸川リトルから帝京(東東京)に行く子が結構いたんです。そんな縁で前田(三夫・現名誉監督)さんと仲良くなって、打つ、投げる、捕るといった技術的なことから試合での作戦まで、一から野球を教えてもらいました。前田さんには「有安さんの野球はちょっと『セコセコ』してるよ。高校に来たら嫌でも細かい野球をやんなきゃならないんだから、もっと大きく考えて自由にやらせたらどうですか」と言われました。

 だから、ウチのチームには「待て」のサインはないんです。空振り三振してもいいから自由に思いっきり打たせる。これなんかは、前田さんに教わったことが影響してますよね。

全国にOBの高校野球指導者が11人

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