父は元プロ野球選手 名門チームで野球を続ける“兄弟”が受け継ぐ、仲間を思う気持ち
社会人まで野球を長くやれる秘訣は……
度会氏はヤクルト時代、スーパーサブとして、チームを支えた。2001年に入団したアレックス・ラミレス氏を公私ともにバックアップ。人気パフォーマンスとなった「ゲッツ」や志村けんさんのギャグ「あい~ん」を提案したのもそのひとつ。グラウンド以外でもチームを盛り上げることに徹するなど、必要不可欠な存在だった。
そんな度会氏に愛息たちがここまで、野球を長く続けられている秘訣について聞いてみた。
「野球が大好きで、楽しいのでしょうね。いつも試合を見に行っても、元気に声を出している姿を見ます。考え込んでしまうタイプではないですし、先日の社会人の大会でも人一倍、声は響いていました」
幼少時から、伝えてきたことがある。
「練習はきついだからこそ 明るく元気に!」
きつい練習や試合状況でも、みんなで声をかけながら頑張ればいい。子どもたちが小さいころから言い続けてきたことを、社会人になっても守っている。もう植え付けられているのだろう。
「キャッチボールひとつにしても、褒めてあげた方がいい。ナイスボール! ナイスバッティング! とかそういう声だしが大切。褒めてあげると、その子にとって自信がついたり、楽しくなったり。時には厳しいことも必要ですけど、声かけひとつでも盛り上がっていくと思っています」
基輝内野手も隆輝内野手も、今のチームでは年少の方になるが、先輩を敬いながら、“さん”付けで名前を呼び「ナイスプレー!」と声をかけていた。球場に響いた声を父はしっかりと耳にしていた。
大人になった息子たちへ託す思いは、常に感謝の気持ちを忘れず、体を大事にして、長く野球を続けて欲しいということだ。
「お互いに社会人野球にいますから、大きな大会で対戦してくれたら楽しいですね。練習試合ではあるかもしれないですが、大会でね。どこに座ろうかな……。真ん中か、こっそり外野席ですかね(笑)」
野球と向き合う親子の向き合い方は非常に難しい問題でもある。言葉は時として重要だが、関わり過ぎも禁物だ。大切なことは子に野球を嫌いにさせずに、自分で考えることができるように導くこと。そのように導くことができれば、子は自然と父の背中を見て、育っていくのかもしれない。ヤクルト黄金期のスター軍団を声とハートで支えた父のように……。