21回連続無失点を“演出”した西武の21歳 森友哉不在の危機救う成長を辻監督も絶賛

牧野「西武の捕手は打てないと試合に出られない」

 リードだけではない。1回にオグレディの来日1号ソロで先制した直後、2回無死一、三塁で迎えた第1打席でカウント1-1からソフトバンク先発・大関のスライダーを捉えて右前適時打。貴重な追加点をもぎ取った。

「内野が下がっていて、セカンドかショートにゴロを転がせば1点入る状況でした。ボールを上から打とうと思った結果、ああいう形になってよかったです」と照れたが、主砲の山川穂高内野手と森を故障で欠き、得点力がガタ落ちしていたチームにとっては、2日のロッテ戦(ZOZOマリン)の8回に山田が左前適時打を放って以来、実に6試合51イニングぶりのタイムリー。昨季まで1軍出場がなく、初出場をスタメンで飾った6日の楽天戦(楽天生命パーク)で初打席初安打を放ったばかりの牧野にとっては、プロ2本目の安打であり初打点だった。

 牧野は石川・遊学館高から2018年ドラフト5位で入団。今年はドラフト3位で中大から古賀が加入し、危機感を強めている立場でもある。「西武は打てて守れる森さんのスタイルが出来上がっているので、打たないと試合に出られない」と語る。

 打撃に関しては昨年、高山久打撃コーチ(当時は2軍打撃コーチ)に師事。今季は一緒に1軍へ昇格した格好だ。登場曲にあえて、牧野が生まれる8年前の1993年にリリースされたZARDの「負けないで」を使用しているのも、昨秋のフェニックスリーグ期間中、室内練習場で40歳の高山コーチがかけていたのを気に入ったからだとか。

 2019年にMVPと首位打者に輝いた森の壁は、とてつもなく高い。それでもプロの世界に生き残るためにも、森不在のうちに自分の居場所を広げておく必要がある。「山川さんと森さんが帰ってくるまで、必死に食らいついて1勝でも多くと思っています」と控えめにうなずいた牧野。登場曲の懐メロがその背中を強く押してくれるかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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