500以上の少年野球チームを取材 軟式ボール老舗メーカーの3代目は“二刀流”

「子どもたちが自分に合ったチームを選ぶ手助けになれば」

 自分たちが作った軟式球を使う人たちの声が聞きたい思いで始めた活動は今、もう1つの目的がある。「チームの情報を提供して、子どもたちが自分に合ったチームを選ぶ手助けになったらいいなと思っています」。チームには、それぞれ特徴がある。評判の良いチームに入ったとしても、全ての子どもたちが楽しく感じるとは限らない。長瀬さんは多くのチームを知れば知るほど、価値観が1つではないと感じている。

 例えば、否定的な意見が多いお茶当番も、悪いと決めつけることに違和感があるという。「野球は地域性が色濃く出るスポーツだと思います。お茶当番が合っていると感じる地域やチームもあります」。全てのチームにお茶当番の廃止を強要するのではなく、各チームの特徴を知った上で、子どもたちや保護者が選択できるのが一番だと考えている。

 500以上のチームを取材している長瀬さんは、指導者の苦労を見る時がある。「保護者の方々は指導のレベルが高くて、親の負担が少なくて、費用が安いチームを求めると思いますが、そのようなチームは、なかなかありません。限られた時間の中でボランティアのような形でやっている監督は少なくありません」。

 時間的、金銭的にゆとりのある指導者ばかりではない。子どもや保護者の期待に応えるのも限界がある。チーム選びには指導内容、保護者の負担、費用などに優先順位をつける必要がある。子どもたちが希望に近いチームでプレーして野球を楽しめるように、長瀬さんは老舗メーカーの経営とメディア運営の“二刀流”を続ける。

(間淳 / Jun Aida)

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