「男子と別の形の確立を」現役指導者が考える女子野球の“独自の魅力”とは
勝利+野球のおもしろさ、バランス良く50%ずつ指導の両輪に
「甲子園や東京ドームでプレーできるのは全国で2校しかありません。技術を磨いて勝利を目指すのは大切な要素ですが、勝ちに偏り過ぎると女子野球はブームで終わって競技人口は増えないと思っています」
弓桁監督が掲げるのは「50%+50%」の指導法だ。技術を磨いて勝利を目指す指導と、野球本来のおもしろさを伝える指導をバランスよく両輪にする。これから競技人口の拡大を目指す女子野球に、行きすぎた勝利至上主義や選手の振り分けはふさわしくないと指摘する。
「勝利至上主義が悪いわけではなく、野球の楽しさやおもしろさを伝える指導と50%ずつにするのが、学生スポーツの本来の姿だと思います。勝つことで成長できる部分がある一方で、楽しむことも大事。どちらかが正しい、間違っているという問題ではありません。3年間の高校生活で、いかに選手たちが満足感を得られるかが大切だと思います」
弓桁監督は、自己の成長とチームの成長の両方を感じられるところに野球のおもしろさがあると考えている。野球はチームスポーツでありながら、打席に立った時や守備で打球が飛んできた時は個人の力が問われる。どの選手も攻撃と守備、どちらにも関わる。指揮官は「野球は意外と与えられるチャンスが多いです。その機会を生かしたときに個人が得る満足感は大きいと思います。自分が大きなミスをしても仲間が補ってチームで勝利する喜びも感じられます」と力を込める。