先輩のトレードで「涙を堪えるのが…」 中日・京田陽太が名古屋を奔走した日
愛妻にも感謝「ひと言がなければ、何もしないままでした」
「あんなにお世話になったのに、何もしなくていいの?」
もちろん言葉では伝えたが、感謝の気持ちを形にもしたい。すぐに家を飛び出し、車を走らせた。自身が持っている好きなブランドのバッグと同じデザインの品を買い、その足で加藤宅へ。玄関を開けて驚く相手に、惜別の思いを贈った。
「加藤さんの顔、泣きそうでまともに見られなかったです。涙もろいところもあるんで、ダメでしたね……」
すぐに動いてよかった。「葉月のひと言がなければ、何もしないままでした」と妻にも感謝する。翌日、ナゴヤ球場で関係者たちに挨拶した加藤を最後まで見送り「また涙腺やばくて、涙を堪えるのに必死でした」。そんな思いは先輩も分かってくれていたようで、新品のカバンを手に千葉での入団会見に臨んだ。
移籍から3か月後の昨年9月、加藤はプロ7年目にして1号本塁打を放った。その記念Tシャツを、京田はちゃっかり“寝巻き”として使っている。着用した姿も先輩に抜かりなくLINEで送信した。