初勝利をあげた“獅子の由伸” 辻監督をも“おちょくる”驚きの度胸とポジティブ思考
「スマホを落として割ってしまった時も、これで新しい機種を買うことができる、と」
今季11試合に登板し、計10回1/3でわずか1失点。防御率0.87の安定感を誇る。絶体絶命のピンチにも「ああいう場面の方が楽しめるタイプなので」と言い切る度胸は、いったいどこで磨いたのだろうか。
山梨・帝京三高時代に、専門の講師からメンタルトレーニングの手法を学び、四国学院大進学後も独学で勉強を続けた。「常に最悪の場面を想定して準備する」ことが、ピンチにも動揺しない秘訣で「ここで抑えたらかっこいいな、と思ってマウンドに向かいます」と堂々としたも。ポジティブ思考は普段の生活にも及び「スマホを落として割ってしまった時も、これで新しい機種を買うことができる、と本気で思いました」と笑い飛ばす。「ポジティブすぎて、周りから『少しおかしいんじゃないか?』と言われる」ほどである。
「ふてぶてしいところがあるよ。俺をおちょくってくるくらいだから」と、楽しそうに明かしたのは辻監督だ。試合前の練習が終わる頃、物思いにふけっていた指揮官へ、水上が「監督、何か悩み事があるんですか?」と話し掛けたことがあるというのだ。チームでは7回を水上、8回を平良、9回を増田が担う“勝利の方程式”が確立されつつある。怖いもの知らずの快進撃はまだまだ続きそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)