ベンチ入り1割の日体大に学生が集うワケ ユニ着れなくても与える“将来の選択肢”

日体大の練習風景【写真:小林靖】
日体大の練習風景【写真:小林靖】

配信する動画はプロ野球中継さながらのリプレーやテロップ

 例えば、日体大野球部のYouTubeチャンネルで配信されている動画は、メンバーを外れた部員が撮影、編集している。試合を生中継する映像は複数のカメラを使い、アングルを切り替える。カウントや得点はテロップで表示。さらに、今年からはリアルタイムでリプレーを表示するなど、プロ野球中継さながらの凝り方だ。

 他にも、野球関係の仕事を希望する部員をサポートするシステムがある。指導者を目指す部員はコーチング、トレーナーを目指す部員は、怪我の予防や応急処置をするアスレチックトレーナー、パフォーマンスを向上させるストレングス&コンディショニングコーチ、データ分析のアナリストなど様々な分野の知識や技術を学べる。審判を育成する仕組みもあり、今年は講習を受けた部員を春季高校野球の東京大会に派遣した。また、講師を招く月に1度の人間力育成セミナーや、地域清掃や野球教室などの地域貢献活動も行っている。

 全てに通じるのは、野球を通じた人間形成。チームとしての「大学野球日本一」と、体育大学の使命である「指導者の輩出」という2つの目標がある。「勝つチームをつくることにも全力で取り組みますが、大半の部員は公式戦のユニホームを着ることはできず、大学野球で選手生活を終えます。そういった部員が学ぶことができる環境づくり、また、全部員の『人間的な成長』に繋がると期待する活動には、レギュラー、控え関係なく部員全員で取り組んでいます」と語る。

 悩みながらもより良い方向を模索し、学生たちの背中を押す古城監督。「何が正解かわかりませんが、野球界はもちろんのこと社会に通用する人材の育成を目指して努力して行きたい」。大学野球の名門は勝ち以上の価値を追求している。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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