選手の“サイン無視”も大歓迎 強豪ボーイズ監督が引き継ぐ甲子園40勝の名将の教え
監督の考えは選択肢の1つ、バントのサインを“無視”してのヒッティングも歓迎
江戸崎ボーイズでは、様々なサインプレーがある。だが、どれも絶対ではない。選手がサイン“無視”しても構わないという。実際、公式戦でも送りバントのサインを出された選手がヒッティングするケースもある。結果的に判断が裏目に出たとしても、渋谷監督が選手を叱ることはない。
判断の根拠を確認するだけ。逆に、出されたサインの意図を理解せずに実行した選手に対しては、細かく指摘する。サインは監督の1つの提案であり、試合で判断してプレーするのは選手。「監督が言ったからやるという姿勢は駄目。指示を待つ人間にはなってほしくないんです」と指揮官は説明する。
根底にあるのは、常総学院でプレーしていた当時の監督だった木内幸男さんの指導だ。甲子園で春夏合わせて40勝を挙げた名将。選手の個性を生かして強豪校を倒し、観客も魅了した采配は「木内マジック」と呼ばれた。相手の意表を突く戦い方が印象的だった木内さんだが、選手が自ら判断してサインを“無視”した時は笑顔で喜んだという。
強さと楽しさは矛盾しない。渋谷監督が指揮する江戸崎ボーイズは、“両立”が不可能ではないと証明しようとしている。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)
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